Fritzingのパーツを作成する
(Creating Custom Parts)

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Fritzingにも沢山の部品が登録されていますが、 回路を作成していると部品が無かったり使いずらかったりします、 で、オリジナルのカスタムパーツを作成する方法を紹介したいと思います。
ここで使用しているFritzingバージョンはV 0.6.2(2011-07-11)です。
グラフィックツール(Inkscape/GIMP)を使用しますが、細かい操作までは説明していません、他のサイトさま頼りです。

サンプルファイルについて

こちらからダウンロードしたサンプルファイルを解凍すると下のファイル構成になっています。

 ・breadboard.jpg:"部品本体の画像"の画像サイズを調整する際に大きさの参照用に使用するファイル
 ・DroidSans.ttf :Fritzing用フォントファイル([コントロールパネル]→[フォント]でインストール)
 ・breadboard.svg:部品本体の画像ファイル
 ・icon.svg     :アイコン画像ファイル
 ・schematic.svg :部品の回路図ファイル
 ・pcb.svg      :PCB基板のパターン図ファイル
 ・TA7291P.fzpz :Fritzing用部品登録ファイル(下図の操作でインポートして登録できます)
  Inkscape8 Fritazingの[パーツ]ウインドウ内の赤枠をクリック操作します。

パーツを作成する全体作業の流れ

.部品の画像データを準備(全部で4種類:サンプルファイルに付属)
 ・ breadboard:部品本体の画像(イラスト又は写真)
 ・ icon     :アイコン画像(イラスト又は写真)
 ・ schematic :部品の回路図
 ・ pcb     :PCB基板のパターン図
.Fritzingのパーツエディタを起動して画像データを登録する
.パーツエディタでピンの配置や名称などを登録する
.パーツエディタで詳細情報の登録をする

TA7291P
 このモータドライバIC(TA7291P)の部品を登録する事で説明して行きます。

 この部品を使ったFritzingの図面サンプルはこちらを見て下さい。

《1.部品の画像データを準備》

部品のデータはXMLで記述されています、なので扱う画像もSVG(Scalable Vector Graphics)ファイルです、 SVGファイルはAdobe IllustratorかInkscape(無料ソフト)で作成して下さい。
ここではInkscape Ver0.48 を使った説明です。
こちら にFritzingパーツのグラフィック関連の基準が有るようですがぁ......
寸法等を合わせる様にすると他の部品と上手くかみ合うと思います。

breadboard:部品本体の画像を作成

イラストが得意な人はイラストで作成しても良いと思いますが、私は才能無いので写真で作りました。

@部品をデジカメで撮ります。
 それをAdobe PhotoshopかGIMPで部品を切取ります。(切取り方の説明は省きます)
切取り
 こんな感じでぇ〜す
 写真を撮る時は部品の背景に部品に無い色の
 敷物を置きます。
 また、部品の影も出来るだけでない様にします
 後で、切取る場合に作業がしやすいです。


AInkscapeを起動して、切取った部品画像を取込み、画像サイズを調整します。
 A−1
  "breadboard.jpg"と"切取った部品画像"を起動しているInkscapeにドラッグアンドドロップをします。
  または、[ファイル(F)]→[インポート(I)]を操作して"breadboard.jpg"と"切取った部品画像"を取込みます。
  Inkscape2
  "切取った部品画像"は大きいのでブレッドボード画像の穴に合わせてサイズを小さくします。

Inkscape3
 画像を小さくする時に[Ctrl]キーを押しながら操作
 すると画像の縦横比が変わりません。
 Inkscape画面の右下に有る「ズーム」を218%程にする
 と調整しやすいです。








 ここの「ズーム」

 A−2
  ブレッドボード画像(breadboard.jpg)は用済みです、画像を選択して削除します。

 A−3
  "切取った部品画像"を選択後、[ファイル(F)]→[ドキュメントの設定(D)]をクリックします。
  [ドキュメントの設定画面]が表示されます、ここの「カスタムサイズ」を変更します。
  Inkscape4
  赤色枠のカスタムサイズは、右上桃色枠のサイズより少し大きめでOKです。

 A−4
  [オブジェクト(O)]→[整列と配置(A)]をクリックし、[整列と配置の画面]を表示させます。
Inkscape5
 左赤色枠の▼を操作して基準を”ページ”にします。
 次に左の緑色枠と青色枠を順番にクリックします。


 A−5
  完了です。(尚、サンプルファイルは"breadboard.svg"です)
  作成したファイルを"プレーン SVG(*.svg)"型式で保存して下さい。
  "Inkscape SVG(*.svg)"でもOKの様な気もしますがぁ、説明書にそう書いて在るので......
  まだ、Inkscapeは終了しないで下さいこれでアイコン画像を次に作成します。

icon:アイコン画像を作成

B画像データをアイコン画像用にサイズを変更します。
 B−1
  "切取った部品画像"をマウスで選択します。
Inkscape6
 まず、左赤色枠の部分をクリックして図の様に"鍵ロック"状態
 にします。
 そして、幅と高さの数値の大きい方(この図では幅91.957)を
 32ピクセル(91.957 → 32)に変更します。
 高さは自動で変更されます。
 アイコン画像は32 x 32 ピクセルなのでこの範囲に収めます。


 B−2
  上記のA−3A−4の様に操作します。
  カスタムサイズは32 x 32 ピクセルでもよいです。

 B−3
  完了です。(尚、サンプルファイルは"icon.svg"です)
  ファイルを"プレーン SVG(*.svg)"型式で保存して下さい。

schematic:部品の回路図を作成

sTA7291P
 Inkscapeを使って左図の様な部品の回路図を作成します。
 (図形の描き方の説明は省きます)

 回路図が完成したら上記のA−3A−4の様に操作します。
 画像サイズやカスタムサイズは適度に調整してね

 回路の配線引きを考慮してピンの配置を決めた方が配線の引き回し
 が上手くいきます。

 尚、この図とこれ以降の図が異なっていますが操作は同じです。


注意点
 ・回路図が完成したら、全部の図形を選択して[オブジェクト(O)]→[グループ化(G)]を実行しないと
  画像サイズは調整出来ないよぉ。
 ・回路図の線幅(枠線やピン線)は3ピクセルがお勧めです。
 ・Fritzingではフォントは[DroidSans]か[OCR A]でないとだめだめですぅ。
  (異なるフォントを使用したらFritzingで取込む時に変換しますが、文字位置はずれずれまくり)
  どうしても異なるフォントを使いたい場合は、その文字をパスに変換すればOKの様です。
 ・尚、サンプルファイルは"schematic.svg"です。

pcb:PCB基板のパターン図を作成

pTA7291P  Inkscapeを使って左図の様な部品のパターン図を作成
 します。(パターン図の描き方はこちらを参照下さい)

 この画像で実際にパターンが作られますので画像サイズは実寸サイズです。

注意点
 ・オレンジ色部分が穴あきと半田を盛る部分なのです、実物の部品と同じ寸法で配置します。
 ・白色がシルク印刷部分です、ドキュメント背景が白だと見えませんが、部品の外形を描いて下さい。
  ドキュメント背景の色替えは、[ファイル(F)]→[ドキュメントの設定(D)]をクリックして、ドキュメントの
  設定画面を表示させます。
  Inkscape7
  赤色枠内をクリックします、[背景色の選択画面]が表示されるのでここから色を選んで下さい。
  薄い灰色辺りがお勧めです。
 ・尚、サンプルファイルは"pcb.svg"です。

《2.Fritzingのパーツエディタを起動して画像データを登録》

Fritzingを起動し、[パーツ(P)]→[新規作成(N)]をクリック操作してパーツエディタを表示します。

Fritzing11
 @をクリックし操作、
  ここには上で作成したアイコン
  画像
を登録します。
 Aをクリックし操作、
  ここには上で作成した部品本体
  の画像
を登録します。
 Bをクリックし操作、
  ここには上で作成した部品の
  回路図
を登録します。
 Cをクリックし操作、
  ここには上で作成したPCB基板
  のパターン図
を登録します。


Fritzing12
 登録するとこんな感じです。

 尚、"部品の回路図"画像が上の図と異なっていますが気にしないで下さい。

《3.パーツエディタでピンの配置や名称などを登録》

画像の操作について

Fritzing15
 [+]ボタンをクリックで画像表示が大きくなります。
 [-]ボタンをクリックで画像表示が小さくなります。

 画像の上にマウスを移動させるとマウスアイコンが手のひらアイコンに変わり
 ます、この状態でマウスの左ボタンを押しまま上下左右にマウスを動かすと
 画像の表示位置が移動するので操作し易い場所に移動して下さい。


部品に名前をつけます

Fritzing13-1
 "部品に名前をつけてください"の文字部分をクリック
 します。

Fritzing13-2
 "名前"を入力し[承認]をクリック


エラーの修正

Fritzing14-2 のマークが表示された場合はその箇所を削除します。

Fritzing14-1
 @のタブ[コネクター]をクリック
  します。

 Aの[直しておいてよ!]ボタンを
  全てクリックして消します。


部品ピン(コネクター)の設定

Fritzing16
 コネクタ一覧の1番目項目
 ”まだ名前がありません”文字を
 選択します。

 左図の様に、各画像上に、
 ピン設置ポイント(白い四角枠)が
 表示されます。

 右のピン設置ポイントは移動無です
 左の2個(点線赤丸)をそれぞれの
 ポイント場所に移動させます。


もし、上図の様に、各画像上にピン設置ポイント(白い四角枠)が表示されない場合は、
”まだ名前がありません”文字の右側横に有る(X)をクリックして全て項目を消します。
それから、[コネクターを追加]ボタンを押して新規に項目を追加すれば表示されます。
実はこの方法の方が以下の操作を行う場合に操作がやりやすかったりしますがぁ.....
(下記の部品ピン(コネクター)の新規追加を参照下さい)  *2)

 @ まず名前を付けます。
  上図、右のピン設置ポイント(パターン図)の場所はTA7291Pでは、1番ピンのGNDです。
Fritzing17
 コネクタ一覧の1番目項目
 ”まだ名前がありません”文字は
 選択されていますね、
 更にこの文字をクリックします。
 と、左図の様に表示されます。


 "名前:"と"説明:"を入力し[承認]をクリックして登録します。(日本語不可)
 次にコネクタ一覧の2番目項目も同じように操作を行います。
 この操作を全ピン(1番〜10番ピン)すべて行います。

 A 上図、真ん中のピン設置ポイント(回路図)を移動させます。
Fritzing18-1
 この図の様に[+]操作で画像(回路図)を少し大きくします。
 (A)部分をクリックして下さい。
 (B)部が表示されます、この場所はTA7291Pでは、
 10番ピンのOUT2です。
 (A)のポイントをOUT2の場所に移動させます。


Fritzing18-2  こんな感じです。

 マウスを(A)の部分に移動するとアイコンがFritzing18-3に変わりま
 す、変わったらマウスの左ボタンを押したままドラッグ。
 Fritzing18-3に変わりにくい時は(A)部分をクリックし直すと良い。
 または、画像サイズをもう少し大きくするです。


 この操作を全ピン(1番〜10番ピン)すべて行います。

 B 上図、左側のピン設置ポイント(部品図)を移動させます。
Fritzing19
 上Aと同様に操作して全ピン(1番〜10番ピン)すべて行います。


 C アンカーポイントを表示させて見ましょう。

Fritzing20  ここにチェックマークを付けて見て下さい、ピン設置ポイントの枠内に
 [+]が表示されます。

 この[+]の位置に線や部品ピンが配線されます。

 ピン設置ポイントの四角点線枠の大きさはデフォルトのまま変更しない方が良いです、
 変更するとアンカーポイントの位置が変わり上手く移動できないです(やり方が有るのかも?)。
 やり方判明  *1)
 四角点線枠の大きさを変更した後にアンカーポイントの位置を移動させます、これでOK
 アンカーポイントの位置を移動させた後、四角点線枠の大きさを変更させたら、
 アンカーポイントの位置は元に戻るですね!だめやん!。

部品ピン(コネクター)の新規追加

Fritzing21  ここの[コネクターを追加]ボタンを押すと、コネクタ一覧に追加されます。
 上の説明の操作を行いピン設置ポイント枠を移動させましょう。

《4.パーツエディタで詳細情報の登録》

 [詳細]のタブをクリックして下の画面にします。
 (各項の灰色文字表示部分をクリックすれば設定入力画面に移行します)
 Fritzing22

 ラベル
  例えば抵抗なら"R"やトランジスタなら"TR"とかです。
  抵抗を追加する度に"R1"・"R2"と部品に名前が付いて行きます。
  この項がないと部品名は"パーツ1"となっています。

 詳細
  部品についての簡単な説明を設定します。

 プロパティ
  部品の特性などを設定します。(他の既存標準部品を参考にして下さい)
  family    :今回は"Motor-Driver"にしました
  package :今回は"HSIP10-P-2.54(THT)"にしました
  type      :今回は"TA7291P"にしました
  新しい項目を追加する場合は"ラベル"をクリックして"package"とか入力します、
  値には"100 mil [THT]"とか"DIP"とかですね。  *2)

 タグ
  検索時に使用されるのでfamily名等を登録します

 作者
  デフォルトは、ユーザー名(アカウント名)が設定されています。
  日本語はエラーになるので、ユーザー名が日本語の場合はどうなるのでしょう?

《保存》

 Fritzing23
 [保存]ボタンをクリックします、保存後Fritzingを再起動します。

 保存先フォルダ(Widows XP)
 画像保存先 :[C:\Documents and Settings\xxxxx\Application Data\Fritzing\parts\svg\user]
 XMLファイル:[C:\Documents and Settings\xxxxx\Application Data\Fritzing\parts\user]
 xxxxxは自分のPCのユーザー名です。
 部品本体の画像:breadboardフォルダへ
 アイコン画像:iconフォルダへ
 部品の回路図:schematicフォルダへ
 PCB基板のパターン図:pcbフォルダへ
 尚、画像のファイル名は変更されます。

 あ、それとぉ、"\Application Data"は「隠しフォルダ」です、
 表示する様にしていないと表示されないでしょう。
 尚、「隠しフォルダ」の表示方法は”蔵衛門”サイトさんの”隠しフォルダを表示させる方法”
 参考にして下さい。

 [新しいパーツとして保存]ボタンは、既存のパーツを変更して新パーツとして登録します。
 [パーツ]ウインドウの[Mine]に登録され、上の保存先フォルダーに保存されます。

《編集》

Fritzing24
 [パーツ]ウインドウから変更したい部品を選択してマウスの右ボタンを
 クリックして[編集]を選びます。
 パーツエディタが表示されるので変更有れば編集して下さい。

 [削除]を操作してもここのアイコンが消えるだけで、保存先フォルダの
 ファイルは残っています。


 ”部品本体の画像”を反転させたり等の編集する記事はこちらを参考にして下さい。
 作成したオリジナル部品を既存の標準部品の仲間にする方法はこちらを参考にして下さい。
 私の作成した稚拙なオリジナル部品のダウンロード一覧はこちらを見て下さい。



変更&追記(*2) 2012/01/13
追記(*1) 2011/08/06


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